幸福の木のドラセナ・マッサンゲアナは室内で育てる観葉植物の中では比較的大きく育つことから、気付けば大きく生い茂ってしまうことも少なくありません。そのまま健康的であれば葉を落として剪定することで簡単にメンテナンスできますが、何年か植え替えもせず放置した状態だと根詰まりしていて弱ってしまっているかも分かりません。当記事では、伸びすぎた幸福の木の幹を切り、一から植えて再生させる方法について紹介します。
幸福の木が弱っている症状と理由
一部の葉が茶色く枯れていて、取り除いても何日かするとまた枯れる葉が表れる場合は、幸福の木が弱っているというサインかもしれません。
葉っぱ全体ではなく葉先だけが枯れていても、弱っている証拠となります。葉先だけが枯れる症状は、葉っぱ一枚や二枚という単位ではなく、木に付けている葉全体で見られることもあります。
葉先が茶色になるのとセットで見られる症状として、葉が波打っていたら弱っている可能性が高いです。
日当たりが良い場所に置いているか
写真の幸福の木は日光が届かない玄関にずっと置いていました。大きな幸福の木があることで、玄関から入った時に清々しい気持ちになるからという理由で置いていましたが、気が付けば弱ってしまっていました。幸福の木は日光が届かないような日陰でも生育はしてくれますが、望ましい環境ではありません。本来は日の光が届く半日陰、室内だとカーテンレース越しで明るく照らされる窓際のような場所に置いてあげることが望ましい観葉植物です。玄関はすべての戸を閉じると真っ暗になるほどでしたので、幸福の木にとっては最悪の環境でした。
長期間も植え替えせず放置になっていないか
毎日見ているとそこまで変化に気付きませんが、数年以上も生育していれば葉も根も生長しています。特に根っこは限られた鉢の中のスペースでその長さを伸ばし、鉢全体にまで張り巡らせているでしょう。購入当時はお店の人がそのサイズに適した鉢のサイズに植えてくれていましたが、数年経てばどうでしょう。その鉢の中は根と根が絡み合い、効率よく水分を吸収できているとは言えないでしょう。
また、数年経てば土も栄養を失い、光合成だけではなく土からも栄養を吸い上げる本来の働きができなくなっているでしょう。植え替えは、根詰まりしているという理由以外にも、栄養ある土に替えてあげるという目的も持ちます。
冬の寒い時期にそのまま放置していないか
暑さにめっぽう強い幸福の木ですが、寒さには弱い観葉植物です。観葉植物のほとんどが寒さには弱いですが、幸福の木は特に寒さに弱いです。12℃を下回るような場所には置かないように気をつけましょう。
水はけの良い環境にしているか
観葉植物にとって水はけはとても重要です。日々の水やりは「土が乾いたら」が原則ですが、毎朝毎晩与えていませんでしょうか。どちらかというと幸福の木は乾燥に強いので、水の与えすぎには注意しましょう。また、水やりが間違っていなくても、水はけの悪い土壌だと意味がありません。土に水が滞留しすぎると根腐れを起こしてしまいやすいので、できる限り水はけの良い土壌環境を用意しましょう。幸福の木にオススメなのはゴールデン粒状培養土。程よい粒の大きさにより、鉢底石がなくても水はけの良い土壌とすることができます。
春先から夏場に懸念されがちな、観葉植物の土から発生するコバエですが、ゴールデン粒状培養土は2000℃で殺菌処理されているため、購入直後に土の中にコバエの卵が存在する心配はありません。また、ゴールデン粒状培養土は無機質な土なので、有機物を好むコバエが新たに卵を産み付ける心配もありません。コバエ対策として表面の土だけゴールデン粒状培養土にする人もいるほどです。
幸福の木の再生方法
幸福の木を幹だけにする
葉っぱなしにどうやって生きるのだろうかと疑問に思いますが、生えているすべての葉をすべて切り落とします。確実に再生するとは言えませんが、幸福の木にまだ生命力が残っていれば、再生するチャンスはあります。通常は、今生えている枝すべてを切り落とすだけですが、伸びすぎた木を好きなサイズにまで小さく小型化する目的もあるので、手順を説明します。
1. 幸福の木の幹を切る
根元から好みの高さを決め、その場所で幹を切ります。幹の上の方に枝が集中しているため、幹を切れば必然とすべての枝がなくなると思います。幹を切る際には、園芸用ハサミではなくノコギリを使います。幹が太い場合は通常のノコギリだとなかなか切れないかもしれないので、電動ノコギリを使うなどしてください。
幹に対して垂直に切っていきますが、真ん中の方まで切り進めていくとなかなかノコギリが動かなくなることがあるかと思うので、その際には斜めに切り口を入れることでノコギリが動きやすくなります。残す方の幹は切り口が垂直にしなければならないため、切り捨てる側が斜めになるようにしましょう。
切断面を見たら真ん中が黒い場合
幹の切断面が黒く変色していないか、チェックしましょう。
全体的ではなく中心だけ黒くても、腐りかけている証拠です。再生する木としてふさわしくありません。幸福の木が腐っている場合は、幹ではなく枝を使って水栽培し、新たな木として育てましょう。
2. 切断面を塞ぐ
幹や枝の切断面を放置しているとそこから水分が蒸発してしまいます。また、切り口から雨や雑菌が侵入し、木を腐らせる原因になりかねません。切り口には癒合剤を塗布してあげましょう。
3. 幹からボコッとした出っ張りが出てくる
切り落とした枝から再び枝が生えてくることはありません。その代わりに、幹の途中からボコッと出っ張りが出てきます。やがて、そこから枝が出てくれば成功です。
枝は幹の上側先端すぐ下10cm前後に出てくることが多いです。
丸坊主から1ヶ月経過、幹から芽が出てくる寸前の気配あり
幹の皮を突き破り、今にも芽が出てきそうな雰囲気が出てきました。一箇所に留まらず、五ヶ所くらい同じような出っ張りが出てきました。出っ張りを除くと薄い緑色した瑞々しい繊維のようなものが見えます。もう一息といった感じですね。
丸坊主から2ヶ月経過、新芽が顔を出す
丸坊主にして2ヶ月が経過し、3cmほどの新芽が幹から出てきました。一番最初に出てきた芽は想定通り幹の先端付近でした。「幹だけとなった状態からどうやって栄養を吸収していたんだろう」というのが正直な感想ですが、裏側では土が乾いていないかをしっかりチェックしたり、土が乾いたことを確認したら肥料のメネデール入りの水をたっぷり与えるなどしていました。丸坊主にしたのが4月で、この3cmほどの新芽が出てきたのが6月なので、幸福の木からすると生長期。観葉植物にとって最も生長・繁殖しやすい時期なので、そこが少し後押ししたかも分かりませんね。
丸坊主から4ヶ月経過、4本の新芽が伸び、しっかり枝として生長
4ヶ月も経過すると枝葉の生長が著しくなります。数日程度で葉が数センチ以上伸びるようになり、毎日毎週様子を見るのが楽しみになります。丸坊主を開始して最初に芽を出したのは幹先端側でしたが、3ヶ月を経過した頃から根元側の枝葉が先端側の生長を追い越し、最近では根元の枝葉の方がグングン生長しています。根元と先端にそれぞれ2本ずつ新芽が生え、真ん中付近には少しボコッとしたところがある程度でまだそこから新芽が出てくる雰囲気はありません。
幸福の木が伸びすぎたら短くして再生させよう
長く生育していると色んな理由で枯れたり弱体化してしまうのが観葉植物です。しかし、植物も子孫を残すためにあらゆる再生や繁殖方法を持っています。同じ木や株で長生きさせるのも一つですが、一度弱体化してしまったならその一部を活用して新しく再生させるというのも良いのではないでしょうか。ぜひ、お試しください!
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